6月15日 舟岐川釣行

 支流の舟岐川で真っ黒な天然イワナにご対面

さで、目を覚ました。時計を見る元気もない、とにかく寒い。気がつくとシュラフのファスナーが空いたままだ、疲れと酔いでそのまま眠ってしまったのだろう。身体はピクリともせずそのまままた眠りに落ちた。身体が動き始めたのは時計の針が7時を回ったころ今日もCR区間からスタートしようか、昨日とはうって変わって透き通るような青空だ。しかし相変わらず風は強く空気は冷たい。川に入り少しロッドを振ったところから腰が痛くて歩けない、一歩足を踏み出すだけで腰が潰れそうになる寒さが響いたのか、はたまた寝相が悪かったのか一旦川を上がりウェーディング用のウェストベルトを装着しに車に戻った。痛い腰を押さえながら川に戻ろうとしたところ、若いお兄さんが駆け寄って来た。千葉から昨夜着いたのだそうで、今日から4日間釣りをするのだそうです。僕より幸せな人間がここに居ました(笑)この川が大好きだと言ってくれました。いつまでも大切にしてくださいね。さて、川に戻ったものの腰の痛みで釣りに集中できずリタイア。キャンプに戻り、しばし休息することにした。テントの中で横になり小一時間の睡眠をとった。このまま帰り支度にかかろうかと思ったのだがどうにも後味が悪いので最後に支流の舟岐川に行ってみることにしました。時間的にもこれが最後だけど腰痛で集中力が続くか心配。

舟岐川 藤の花 会津駒
舟岐川上流の美しい流れ 流れの上に咲く藤の花 取水堰堤から会津駒を望む

流を目指すが目ぼしい入渓場所には車が停まっています。いつもの上流部まで進み沢沿いに川に入ってみるが水量が多くこの腰の状態では川を歩くのはかなり無理がありそうです。入ったばかりだが遡行を諦め車に戻った。半ば諦めつつも川を眺めながら下流へと下ります。途中で残雪をまとった駒ケ岳が見えたので車を停めて写真を撮とりました。がけ下を覘くと取り水の堰堤が見えます。何か気を引かれるものがあり、入渓出来る場所があるか探してみると道路の下から流れる沢沿いに降りれそうです。踏み跡はないだろうか踏み跡があれば入渓者がが居ると言う事、きっと魚も居るはずだ。踏み跡発見!かなり下らなければいけないけどとにかく降りてみよう。帰り道路に上がれるか心配だけど・・。

まで降りてみると両岸は木々が太陽の光を柔らかく遮り、水面は木漏れ日でキラキラ輝いてまるで夢みたい。この流れは凄く素敵で美しい。少し釣りあがったところでライズを発見。白い砂底の流れの脇で魚が跳ねた。「しめしめ、いただきます」ここは慎重に細心の注意を払ってゆっくりキャストするとフライは狙い通りに先ほどのライズの上流30cmのところに着水しました。しかし、水面には何の変化も起こらずフライは落ち込みまで流れきり水の中に消えました。「あれ?」もう一度、さらにもう一度・・。やはり何の反応もありません。「変だな?定位してるとすればあの辺なのに」上流に移動したとき先ほどのライズの右横1mのあたりから魚影が走りました。「あれ?そんなとこか?」それにしても動きが早い、そんなに「スレているんだろうか?」その後、石周りを丁寧に狙うのだが反応は無く、嫌なムードになりかけたとき流心近くで魚影が走った。「ん?居るには居るけど・・。」狙っている場所が違うのだろうか。答えは次のポイントで解った。大きな広い流れ、足元から魚影が走る。広い流れは左右と真ん中のに3筋の流れを作り僕はその左側の岩盤の脇にフライを落としました。するとキラッっと光って反転した奴に無意識でロッドを立てた小気味良い感触がロッドを伝わって来ます。しかし、今までのそれとは明らかに感触が違うこのローリングは紛れも無くヤマメのものです。銀色に輝く魚体は木漏れ日の中でキラキラ輝いてそれはそれは美しかった。先ほどのライズといい僕はすっかりイワナだと思い込んでいたのでイワナのポイントしか狙っていなかったのです。「そうか、ヤマメもいるんだ」正体がわかって一安心、これで狙うポイントもはっきりしました。イワナしか棲まない川だと決め付けていたのがヤマメも棲むことを知りちょっと得した気分になりました。

舟岐川 ヤマメ 天然イワナ
木漏れ陽が創る清らかな流れ 予想しなかったヤマメ 真っ黒の天然イワナ

ポイント
大岩の脇の白泡の切れ目から真っ黒なイワナが出た。こんな所から天然の大イワナが顔をみせるとは思わなかった

マメを流れに戻し上流へ移動しようと思ったところで今ヤマメをかけたポイントのわずか2,3メートル上にこの大場所の流れ込みを左から巻くように流れ込む小さな流れがありました。大石が流れを受け、ちょっとした深みを形成しているポイントはいかにもイワナが潜むに適したポイントです。「 いるならここだ」妙に心臓の鼓動が早くなった気がしました。ティペットをチェックして一投目、狙い通りに着水したフライが流れに乗ってゆっくりと動き始めたとき小さな枯葉のくずのようなものがフライに纏わりつきます。「こら、離れろ纏わり付くんじゃない」と心で叫んだそのとき水底から真っ黒い大きな影が浮かんできて間違いなくフライのほうを咥えました。「やった!すごい!」「でかい!」その真っ黒い陰は水底の石の陰に潜り込もうとするのだけれど、そうはさせられません。バーブレスフックだから潜り込まれたりしたらひとたまりもありません。この川に入るときにセレクトしたOrvisのフウルトラファインの2番ロッドはみごとにアーチを描いています。

天然イワナ
真っ黒な天然イワナ。泣き尺だったが美しい魚体、鰭の大きさが見事だった

早めに決着を付けたい一心で半ば強引に彼を浮かせさらに強引にネットに押し込んだ。見事に美しい典型的な日光イワナです。木漏れ日がかすかに落ちるこのポイントで大きくなったのだろう、真っ黒の身体に真っ黒の瞳が印象的な泣尺の天然イワナです。この沢で生まれてこの沢で育ったに違いない岩魚は飛行機の羽根のように尖った胸鰭と扇子のように逞しい尾鰭の持ち主でした。しばし見とれて写真に収めた後流れに戻すとユラユラと泳いですぐ目の前の石の下に潜り込み、隙間を見つけると尾鰭からバックでその隙間に潜り込みその隙間の奥から大きな眼で僕をジッと見つめていた。急に得体の知れない罪悪感を感じた僕はここで竿をしまい。大きく伸びた笹の藪をかき分けて道路に上がった。たとえようの無い充実感と少しばかりの罪悪感は微妙に絡まりあいながら僕の脳みそから五体へと広がっていくのでした。