渓流釣りの解禁が近づき、はやる気持ちで落ち着かない日々を過ごす時期になると必ず想い浮かぶ川がある。
福島県の浜通り、太平洋へと流れ出す井出川そして木戸川という二つの川だ。いずれも阿武隈山脈を源に双葉郡川内村から楢葉町を経由して太平洋に流れ下る一級河川である。 僕はずっと昔からこの川をホームグラウンドにしていたので想い入れも強いのだろうが、毎年決まって同じ景色が浮かんで来るのが何故か不思議で仕方なかった。 今年も解禁を迎える頃、同じ景色が脳裏に浮かんだ。小さな川は真っ白な雪に閉ざされて、細い流れと川原の大石を覆い隠した雪が朝日を浴びて眩いばかりにキラキラと輝いている。

タイトル

高い堰堤を滝のように落ちる水が、川底を抉り大きな滝壺を形成している。その崖の上に神社があり神秘的な雰囲気を漂わせている場所、盛期ならイブニングに型の良いヤマメと出会えるポイントなのだがまだまだ先の季節だ。僕はその神社の上の堰堤のプールでひとしきり小さなライズと戯れた後、コーヒータイムとしゃれ込むのだ。夏になればブッシュで歩けない場所もすっかり雪で埋まっていて、僕はその上でEPIのガスストーブに着火した。粗引きのコーヒー豆を入れたMIROのパーコレーターがポコポコ音を立て始めると、冷えた空気の中にコーヒーの爽やかな香りがゆっくりと漂うのだった。僕の渓流解禁はいつもこうして始まり、新しいシーズンを迎えるのだった。

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