第五章 いろいろなキャスティングがある(その3)

もうすっかり一端のフライフィッシャーになった僕らだがフィールドに出ると思いもよらない自然のパワーに振り回されたりするのだよ。特に風はフライフィッシングの強敵なのだ、軽いラインとフライはいとも簡単にポイントをはずれ遥か彼方のブッシュを釣ったりひどいときには自分の耳にピアスのごとくぶら下がったりするものだ。強敵はそんな自然の悪戯だけではなく、目指す鱒達が棲む川はそれは複雑な流れによって守られていて、ちょっとでもフライを流す道(ドリフトレーンと言う)を間違えると鱒を魅了するはずの毛鉤は水流れに引かれてあらぬ動きをしてしまう(ドラッグがかかると言う)。これはこれで鱒達にアピールすることもあるのだが、大抵の鱒達はこの不自然な動きを嫌い水底へと消えていってしまうのだ。

これらの天敵にどう対応するかで可愛い鱒達に対面できるチャンスが大いに変わるのだよ。研究を怠るべからず。

 
天敵の種類
これらの敵は大きく二通りに分けられる
1.風や障害物などのキャスティングを邪魔する外敵
2.水流などのフライの流れを邪魔する敵

これらの敵を交わすためにさまざまなキャスティング方法が考えられた、よく使われるテクニカルキャスト(トリックキャストなどと呼ぶ御仁も居る)を紹介しよう

複雑な水流によりラインドラッグを回避するテクニック
複雑な流れを回避する

水流によってラインが引っ張られることを防ぐためのキャスティングもいろいろなキャストがあるのだよ。基本的には流れに対してラインを真直ぐに落とすのではなくラインにたるみを作ることでラインが伸びきるまでの時間を稼ぐのがこれらのキャストの目的なのだ。

スラックキャスト
流れに対して横方向からキャストすると急な流れにラインが引かれて大きく弧を描き結果フライが下流に引かれてしまう。流れに対して直角にたるみを作る(スラックと言う)ことでスラックがとけ切るまでの間の時間を稼ぐテクニックである。流れの状況に応じてスラックの大きさや数を変えることで対応するのだ。流れが遠くの場合はフォワードキャスト後すぐにロッドを横に振り(フリップと言うのだ)ラインの先側にスラックをつくる。流れが手元の場合はキャスト後フリップするまでの時間を置くと自分に近いほうにスラックが出来るのでうまく調節しながら使うと良いだろう。

■スラックキャストを動画で確認する

カーブキャスト
スラックキャストと原理は同じであるが大きな一本の流れをまたぐ場合に流れに向かって上流側にラインをカーブさせることでラインが引かれる時間を稼ぐのがカーブキャストだ。流れの上流が自分の左側の場合左カーブキャスト、右側の場合右カーブキャストを行う。カーブキャストにはいくつかの方法がありスラックキャストと同様プレゼンテーション時にロッドチップを上流に振りカーブを作る方法の他、フォルスキャスト時にループを水平につくりそのままの形で着水させる方法がある。後者は木の枝が張り出したような下を狙うときにも有効なので僕も多用する方法だ。
リーチキャスト
流れに直角に対峙したときに流れと平行にラインを落としてドラッグを回避するテクニックである。ロッドハンドを伸ばし、上体ごと流れの方向に倒すことで流れに平行にラインを着水させる。左右を使い分けることでアップストリームにもダウンストリームにも使えるキャストで使用頻度も高いキャストである。

■リーチキャストを動画で確認する

流れに引かれたラインを元に戻すテクニック
横方向のメンディング
トリックキャストで流れの影響を回避してもいずれはラインは流れに引かれて下流に大きく膨らんでしまう。フライが引っ張られてしまう前にこのラインを上流に戻してやるのがメンディングなのだ。水中から出た石などをかわす場合にも有効なテクニックなのだ。
縦方向のメンディング
アップキャスト時に使われるメンディングも覚えておいて損は無いので覚えよう。手前に落ち込みがあったりすると流れの肩にラインが引かれて急激にフライが引っ張られてしまいます。こんなときはロッドティップを縦方向にフリップすることでラインを水面からはがします。フリップするときはリストを使って前方に送るようにするのがコツだ。