Field Reports

明日の楽しい釣りのために、今日の記録を残しておこう。

■8月20日 大鳥川(山形県)釣行

300km先のイブニングライズ

東大鳥川
三年ぶりか、懐かしくも美しい大鳥川の流れ

形通いが続いて来たところで気になりだしたのがタキタロウが棲むとわれる大鳥池を源にする東大鳥川だ。気になりだしたら即行動のOwnerは深夜、東北道に飛び乗った。3年ぶりになるだろうか、Ownerはこの川の中流域の開けた流れがお気に入りなのだ。東北道村田JCから山形道に入り庄内方面へとひた走った。月山ICに近づくと右手に霊峰月山とその麓に月山湖が見えて来る。残念ながら今日は真っ暗やみの中だけれど(笑)。フライマンなら知らない人はないだろう寒河江川もそこにあるのだ。一般国道の月山道路を経て湯殿山ICから再び山形道に入ると目指す庄内あさひICはすぐ近く。山形道は月山ICから湯殿山ICの間が一般国道112号となっているちょっと変わった道路なのだ。

ICを出たところのコンビにで朝食と今回の釣行の食糧を買い込み一路荒沢ダム湖畔のタキタロウ公園を目指す。途中、山をくりぬいた長い隧道に出会う。この隧道は車一台が通れるだけの車幅で、暗く濡れた洞窟は天井の電球に照らされて昼までも薄気味悪いのだが、真っ暗闇の中通り抜けるのは更に不気味さが増して抜けるまでの時間の長いこと長いこと。小心者のOwnerには心臓が潰されそうな時間だった。そんな拷問のようなトンネルを抜け、クネクネカーブを過ぎると目指すタキタロウ公園に着いた。夜明けまではもう少し時間があるので公園の駐車場に車を停めて仮眠をとる。

東大鳥川
大鳥川専用メジロアブフライでイワナと遊ぶ。

が通り過ぎる音で目覚めるとあたりは明るくなっていた。登山案内所でもある朝日屋旅館で入漁券を購入し入渓場所に向かった。まずは蘇岡発電所下流から釣ってみ見ることにした。発電所の放水管の中に隠れた大ヤマメを釣ってやろうと意気揚々、河原の近くのスペースに車を停めた。車のドアを開けたとたん例のメジロアブの総攻撃が始まった。しまった!まだ防虫対策して無かった。あわてて車のドアを閉めたものの車の中はメジロアブの運動場と化してしまった。顔や手の甲に容赦なく襲いかかるアブの群れを撃退しながら自作のミントスプレーを服から出ているすべての肌に擦りつけた。なんとかアブの攻撃が収まったところで車の外に出てタックルの準備にかかった。自作のミントスプレーの効果にはちょっと驚いたが問題は持続性、念のためチグアウェイもベストに忍ばせていざ出陣。川に入るとさすがにアブの数も少なくなって来たが、水流の弱いところに来るとすぐに攻撃態勢を整えて襲って来る。外気温が30度を超える猛暑にミントスプレーは汗と一緒に流されてしまう。結局、チグアウェイを塗りたくり釣りを始めるもののやはりこの猛暑には勝ち目が無くすぐに効果が無くなってしまう。塗っては釣り、釣っては塗りと言うパターンになった。

東大鳥川の立て札
これより先に進めばタキタロウの棲む大鳥池に続く

て肝心の釣りのほうはと言うと、全く反応が無く魚影も全く見え無い。それどころか目的の放水管は跡形も無くなっていたのだ。いくつかのコンクリートの塊が名残を残しているだけだった。少し前までの大雨のせいなのか川の様子もすっかり変わっていた。全く反応の無いまま一時間、発電所上の橋から道路に上がりポイントを変えることにした。更に上流の堰堤の上、イブニングをやろうと思っていたポイントに入ることにした。ここは3年前、イブニングで良い思いをしたとっておきのポイントだ。とにかく一尾釣らない事には始まらないのでイブニングとか言っている場合ではない。

東大鳥川
イブニングを期待したこの川一番の流れは全く答えてくれなかった。

に降り深呼吸をして、「さあ行くぞ!」手始めに小さな支流との合流を流すが反応は無い。本流のここにはと言うポイントにフライを落とす。ティペットも上手にスラックが入りフライはいとも自然に流れて行く。「出ろ!」と心で叫ぶのだが水面には何の変化も現れずフライはむなしく流れて行く。まあ、こんなこともあるさ、ポイントは無限にあるのだから平気平気。すぐ上の落ち込みの反転流にフライを乗せて大石のギリギリにフライを通す。「ほら出た!」胸の内とは相反して何の反応も起こらない。「あれえ?」次から次へとポイントをたたくのだが全く反応が無い。いつの間にか「出ろ!」と声を出してそこに居る筈のイワナ達に命令していたが言う事を聞く奴は全くいない。「そんな馬鹿な・・・」この川とっておきのポイントのはずが、しかも片道300kmを寝ずに走り続けて来たのに。

大鳥川のイワナ
ついに姿を現したタキタロウの子孫。メジロアブフライを咥えた。

暑とアブに痛めつけられながらも肝心のイワナが全く姿を見せないと言う悲惨な状況に気力も体力も尽き果てそうになって来た時、前方に分流が見えて来た。左の少し細い方の流れを選択してしばらく釣り上がると流れは段々と狭まって来た。右岸沿いの小さな流れほんの小さなポイントに何気にフライを落とした時、待望のイワナがスーっと浮き上がって来た。あまりに突然で無意識にはね上げたロッドティップはむなしく宙を切った。「おお、びっくりした!いたいた、しかも結構良い型だ。」フライにフロータントをドレッシングしなおして同じポイントにフライを落としたが残念ながら姿を見せる事はなかった。川に入って3時間以上たっての一尾、少しホッとしたものの不安がよぎる「まさか、これ一尾って事は無いよなあ・・」同じような細く小さなそれでいてちょっとだけ深くなったポイントにフライを落とすとゆっくりと浮いて来たイワナがフライを咥えた。「やった♪」とうとう一尾をキャッチしたこれで一安心。

大鳥川のポイント
岸沿いの小さなポイント。白泡の切れ目から浮き上がってフライを咥えた。

れからはポイントらしいポイントからイワナが顔を出し、流れに定位するイワナも見えてきた。少し広い流れには数尾のイワナが見えた。まずは、瀬尻の石の脇に定位しているイワナにフライを送り込んでやるとまるでヤマメのそれのようなアタックを見せた。#5ラインを乗せたバンブーロッドでは合わせるのが難しそうな速さでフライを咥えたのは20cm程のちびイワナだった。流芯の脇、白泡の脇の反転流と一つの流れから5尾のイワナを釣りあげた。しかもサイトフィッシングで。楽しい事この上なくそれからはポイントポイントでイワナを釣りやっとのこと釣りらしくなって来た。分流はやがて一つの流れに戻ったが、

東大鳥川のイワナ
この日最大のイワナは27cm止まりだった。

れからと言うものまたしてもぱったりと反応が無くなった。分流に残っていたイワナがすべてなのだろうか、前回良い思いをした場所なのだが全くの沈黙だ。川を上がり昼食をとることにしたが、やはりメジロアブの攻撃が激しく車中でのランチタイムとなった。さて、サイズはいまいちだし午後からはどこに入ろうか・・。一休みしてから更に少し上流に入った。広い流れに大きなポイントをいくつも抱えた最高の渓相だ。僕はティペットにフライングアントを結びお決まりのポイントを丁寧に流すことにした。ここは水中を走るイワナの姿も見えて安心して釣りが出来そうだ。

東大鳥川のイワナ
20cm弱のサイズばかりが連れ続けた。これは20cmくらいだろうか。

ワナは何尾もフライを咥えた、それこそポイントと思われる場所から次々と姿を現すのだが何故か20cmに満たないチビサイズばかりなのだ。かなり釣り上がったのだが満足のサイズは一尾も無く後はイブニングに期待だ。イブニングは先に入って全く反応のなかった区間を釣ることにした。日中どこかに姿を潜めていたイワナが出てくるかもしれない、もともとこの川一番のポイントなのだから。しかし、その期待は全く裏切られることとなった。日が落ちてもライズは起こらず、どこを流しても日中同様反応がない。

かが違っていた、大水がイワナを流してしまったのか、そう言えば今日一日一人の釣り人にも会っていないしどうもいつもの大鳥川では無いのかもしれない。明日は泡滝ダムの上流、登山道付近を釣る事にしようと決め、今日の釣りを終えた。タキタロウ公園に戻り、夕飯前にひと眠りする事にした。ウェーダーを脱いだ素足にショートパンツですっかりリラックスしていたら「痛い!」「痒い!」足首を中心に本当に小さな藪蚊が団体で吸血に来ていた。こいつにはミントスプレーもチグアウェイも全く効果がなく、しばし対決モードに入ったが、無尽の吸血攻撃にはさすがに太刀打ち出来ず明日の釣りを諦め帰ることにした。星空を眺めながらウィスキーをチビリチビリとやる予定だったのだが計画は御破算、こうして往復600kmの釣行は幕を閉じた。来年のリベンジを誓う。