5月3日(日) 鶴沼川から戸石川を釣る

二俣川 釣り
結構ハードな流れ
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冬眠から覚めたばかりの親父がこんな渓を歩けるわけなかろう・・・

いよいよGWが始まったものの、世界はコロナ禍の最中である。そして世の中は外出自粛要請を受けて何かと暗い日々が続いている、いつもの平穏な年であればキャンプ&フィッシングがGW中の楽しみの一つなのだが、自粛要請の最中に開場しているキャンプ場など有るはずもないし、とりあえず釣りにだけは行って来ようと決めた。

早朝、鶴沼川の支流に僕らは居た。どうしてもこの川で尺イワナを釣りたいと言う弟の熱い思いを汲んで今日は初めての区間に入ることにした。

時間は早朝五時を過ぎたばかり、ほとんど眠っていないので頭が重い、全身に酸素が行渡るまでにはまだしばらく時間がかかりそうだ。

準備を整えて川に降りると、それは見事な山岳渓流の様相が眼前に広がっている。ここ釣るのか・・・。去年からほとんど運動らしい運動をしていない僕が、この岩場を釣り上がるって、何を血迷ったことを言うのだ。しかも今日は新作の#2ロッドのお披露目の日、こんな急流でこの竿が持つのかそっちの方が心配である。

愚痴を言っていても仕方がない、弟を置いて少し先まで移動してから釣り始めることにした。大岩の隙間をくぐり、左手の傾斜を高巻き、ある程度の間隔を置いてから釣り始める。それにしても、高巻き場所の踏み後も、砂地に残る足跡もまだ真新しい。昨日も結構な数の釣り人が入ったのだろうか、それとも僕らが入渓する前に既に通り過ぎて行った釣り人がいたのだろうか。

釣れる魚の数と釣り人の足跡の数は例外なく反比例するのは釣りの掟だが、それを覆すのは釣り人の誇りでもある。

しかし、血中酸素濃度の低下が招く集中力不足と根本的な体力不足の老釣り師にはそんな野望を抱くほどのパワーが残っている筈もなく、魚の居そうな流れに毛ばりを落とすのだが、毛ばりはほどなく強靭な流れに飲み込まれて行くのだった。

おそらくこの流れでイワナがフライを咥えようとしても、非力な#2ロッドでは合わせすら効かないであろう事は火を見るよりも明らかである。とは言え、魚がフライを咥えなければ何も始まらない。一通りのポイントにフライを送り込んでは大石を乗り越え、次の流れに毛ばりを流す、気づけば何の生体反応も感じることなく脱渓場所まで登り詰めた。

浅場の流れを渡り、左岸の崖の上に立って下流から釣り上がる弟にルートを導いてやる。川を上がった弟は一匹だけ魚影を見たと言った、望みの尺イワナには会えずじまいだったようである。

仕方なく上流に移動した。急な崖を転がるようにして入渓したら待っていたのは尺イワナでは無く今しがた通ったばかりの釣り人の足跡だった、石の上に着いた靴底の形をした水が黒く光って僕らと先行者の距離を知らしめているのだった。

流石にここまでくると釣り人の誇りなど虚しいだけである、僕らはこの人気河川の釣りを諦めて戸石川へと向かった。

戸石川もなかなかの人気河川で、特に県外からの釣り人が多い川であったが、数年前の洪水ですっかり川の様相も変わり、釣れる魚体も小型が多く昔のようなドキドキ感は無くなった。

弟を下流に残し、少し上流から川に入った。昼も近くなって小型のカゲロウや小さなトビケラが宙に舞い始めた。そろそろ流れの開きでライズが出ても良い時間なのだが波立つ瀬の流れを除けば至って平和な水面であった。

ヤマメは流心近くには出ていないようで、沈み石が作る小さな流れの変化する場所から顔を出した。今日おろしたての7ft#2の竹竿が綺麗な弧を描き流心に入ったヤマメの手強さが手元に伝わってくる。

静かにそしてゆっくりと流心から剥がすように引き出したヤマメは17、8cm程のミニサイズだったがこの竹竿の助けも有ってなかなかの引きを味合わせてくれた。

DT-2Fラインに9ft 5Xのテーパーリーダーに6Xのティペットを15cm、更に7Xのティペットを1m程結んだ、フライは#16のバーブレスフックに巻いたクロカワゲラパターンだ。

シーズンインに製作が間に合わなかった竹竿は細いながらもトルクが有るので、このシステムでも安心して使える。ロングリーダー・ロングティペットが流行の昨今だがこの竿には1mのティペットが限度、少し強い流れにもまれるとこの細竿ではフッキングが難しくなるからだ。

新しい竹竿の感触を楽しみながら釣り上がっ行く、フライにでる殆どが二歳魚ばかりなのだがこの細竿は小さな引きにも追従してくれるのでなかなか楽しい。

そんな中何とも元気の無いヤマメがフライを咥えた、流心に潜り込んでもそれ程引く訳でも無くなんか拍子抜けしたのだが15,6cmのヤマメをネットに入れた。

予想通り痩せてスレンダーなヤマメだ、これじゃ引きも弱い訳だと納得したところで、ネットから取り出してビックリ、尾びれと背びれに黒い模様が入っている。ツマグロのヤマメだった、よく見ると体色が白く、パーマークもうっすらとしているし、ヤマメ特有の腹部青斑もほとんど消えている。まさしく降海型の銀毛ヤマメじゃないか、紛れも無くサクラマスの子供である。

僕は長い事「ヤマメの降海型」が海に下ったものをサクラマスと呼ぶと考えていたのだが、ある日、実は「サクラマスの陸封型」をヤマメと呼ぶのが正しい事に気づいた。この話は別にするとして、海までにはいくつものダムや堰堤で区切られるこの川でサクラマスの稚魚が釣れたなんて何とも嬉しい話なのである。

釣果はさておき、幸せな気分に浸りながら川を後にした。

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